募集開始からわずか5日間という異例のスピードでファンド成立となった「HALクリエイター ゲームファンド」。募集開始から2ヶ月弱、現在のゲーム開発状況について、開発チームのリーダー2名、牧山さん、北山さんと、HAL大阪教務部の増田先生に、NTTぷららビジネス戦略部 増島がお話を伺いました。

―満額達成おめでとうございます!まずは今の率直な気持ちをお聞かせください。

牧山:チーム内ですごく盛り上がりました。本当に達成できるのかと不安でしたが、達成してこれはヤバいぞ、と。それだけ期待されているということで、しっかり作ろうと改めて思いました。「実際にユーザーがプレイするゲームを完成させる」というのは、実は今回が初めてです。今までは、すべて自分達の中で途中段階で完結していたんですね。今回はゲームの完成に向けてブラッシュアップにどれだけ時間を割けるかを、きちんとコントロールしなければいけないと思っています。

増田先生:いつもは、できたものをプレイしてもらうことはあっても、これだけ待ってくれている人がいる状態でゲームを作ることがない。プロと同じようなことをやっている。プロと同じプレッシャーを勉強させていただいていることは、とても大きいですね。

北山:学校の課題でやっている分には、反省点は次に反映すれば許されるんですけど、ファンドで達成したということで「絶対作りきらなきゃいけない」というプレッシャーは普段の課題にはない経験ですね。

―ゲーム制作の進行状況はいかがですか?今は何合目くらい?

牧山:僕らは「9合目」くらいですかね。あとはしっかりとステージのレベルを調整しなくてはいけません。今、僕らで遊びつくしたり、デバックしたりしているところです。今後は、できればゲーム制作に関わっていない人にも手伝ってもらって指摘を募り、ひかりTVでの配信に向けて、しっかりブラッシュアップしていきたいと思っています。

北山:僕たちは、だいたい「7合目」でしょうか。「登ったり降りたり」が、やはりかなりあったんですね。ただ、確実に面白くなっている手応えはあります。ここから追い込まなくちゃダメですね。夏休み返上?それはそうかもしれません(笑)

―仕上げ工程の出来は、やはりクオリティを左右しますか?

牧山:はい、全然違いますね。ブラッシュアップの工程では、「どれだけユーザーに対して親切になれるか?」という視点を大事にしています。もっと言うと、ロースペックのパソコンでも動くかという工夫であったりとか、保守性を上げていくためにソースをきれいに修正したりとか、あらゆる細かなブラッシュアップがクオリティを左右するものだと思っています。

増田先生:一般のITシステムの場合は、要求されている仕様が100%できていれば、それ以上は手を掛けなくてもいいですが、ゲームの場合はやろうと思えば、終わりがない。しっかりと手を入れれば入れるだけ、クオリティがアップしていきますから。

―普段は、制作ノルマを決めてプロジェクトマネージメントしているのですか?

牧山:ノルマみたいなものも軽くはあるんですけど、おおよその進捗は先に決めているので、その日中にどうこうというのは余りないですね。修正点があったら、担当者に修正箇所とタイミングを伝えて、その期間になったらチェックして、この辺をこうしようということを繰り返している。マネージャーというポジションがないので、一応リーダーの私がやっています。

北山:僕らのチームは、みんな家が遠いので、だいたいは家で作業しつつ、テレビ電話などを使いながら一緒に作業をしています。プロジェクトマネージメントについては、セクションリーダーごとに音頭をとってもらえるように、コミュニケーションを取りながらやっています。

―開発当初、想定していなかったトラブルなどは発生していますか?

牧山:私たちのゲームコンセプトは「準備万端」と「油断大敵」ですが、これらを「このステージの中に盛り込めているか?」という視点で再度確認したら「ちょっと足りないな」みたい部分も数多く出てきて。そんな時は、原点に戻って、見直すということを何度も繰り返しています。

北山:はじめは「仲間同士がつながってどんどん面白くなる」ということをコンセプトに開発を進めていたのですが、シューティングゲームの本質である「狙って撃つ」とか「かわしたりする」要素が足りないことが徐々にわかってきました。つまり、仲間を作れば作るほど弾がいっぱい発射されるので、狙って撃つ必要がなくなるというジレンマです。だから、より仲間と連結し仲間を使うことに重きを置いたシステムに仕様を変更しました。仕様変更については、かなり工数を取られたなという実感はあります。ただ、以前より断然面白くなったはずです。

―今回開発するゲームの、いちばんのこだわりポイントはどこですか?

牧山:僕らは「親切さ」と「プレイ経験」を大切にしています。ユーザーが触った時に、実はあれがヒントになっているという要素をステージの中にたくさん散りばめている。それらをユーザーがどれだけ受け取ってくれるか、キャッチボールじゃないですけど、「僕らの問いかけに対して、きれいにレスポンスできるように誘導する」というところを目指して作っている点が、僕らの強みだと思っています。これが「プレイ経験」です。手に取った時に、どういう感情を芽生えさせるか?を極力コントロールできるようにやっています。

北山:僕たちのチームは「操作感」ですね。実際に敵を倒していく過程で、ただ倒すだけでなく「こういう倒し方をしたほうが気持ちいい」とか「こういう倒し方もある」とか「こっちのほうがうまく行く場合がある」とか、状況に応じていちばんいい方法論をプレイヤー自身がどんどん進化していけるようなレベルデザインに気を付けて開発しています。たとえば「エフェクト」も大事な要素。ちょっとしたことで、プレイヤーが感じる気持ち良さはかなり変わるので、画面ごとに見合った細かなエフェクトにこだわっています。サウンドもその大事な要素のひとつです。

―仕上げ工程といい、ゲーム制作は途方もない緻密な作業の積み重ねなんですね。

牧山:そうですね、特に「もう少しこうしたらいいんじゃない?」という意見は大切にしています。そう思う人がいるということは、同じように思う人がたくさんいる可能性がある。公開後、同じ意見が何十人何百人と出てきた時に、やっぱりそうしていれば良かったじゃすまないですよね。なので、フィードバックがあった時にこれをどう修正するか、ということは都度考えるようにしています。面白くなければ、僕らは作っている意味がない。中途半端な状態で遊んでいただくわけにはいきませんから。